こんにちは。石川大貴です。
今日は、ユーザーインタビューのお話です。
主にtoC向け(企業向けじゃなくて一般顧客向けのサービスのこと)サービスの話と思って聞いてください。
起業や新規事業において、とても大切になってくるのは「お客さんについて学び続ける」ことです。
ただ、闇雲に自分が作りたいものを作る、自分が良いと思っているものを作るだけでは、ビジネスとしては博打になると僕は考えています。
ビジネスは、買ってもらえなければ売上が立たないわけですから、やはりお客さんの方を向いて、お客さんの欲しがるものを作っていく必要があるわけです。
ビジネスと職人は違います。
お客さんの欲しがるものを作る。
これはシンプルなように聞こえますが、実際に自分で新しい事業をやった経験がある人ならば、どれだけ難しいことかよくわかると思います。これは、本当に奥深くて難しい。
ですので、起業家やとにかく「お客さん」について学んでいって、お客さんのことをなんでも知れるように努力しなければいけません。
そこで、大事になってくる方法の一つは、
「ユーザーインタビュー」だと思います。
まだビジネスアイデアを構想している段階からユーザーインタビューは始めた方が良いです。サービスを作っている段階、検証する段階、広めていく段階、どの段階においてもユーザーインタビューは継続してやっていくべきだと僕は考えています。
“ストーリー”で話を聞こう
ただユーザーインタビューをすれば役にたつかと言えば全くそうではありません。
これも経験している人も多いかもしれませんが、「インタビューしたものの聞きたいことが聞けなかった」はよくあることです。
沢山ポイントをあげてもどうせ忘れると思うので、一つだけポイントあげます。
それは、「話はストーリーで聞け」です。
説明します。
まず、大前提としてお客さんは何も知りません。
自分が何が欲しいかなんてわかっていないし、問題を問題とも思っていないことも多いです。
なんかここサラッと言ってますが、「問題を問題とも思っていない」はめちゃめちゃ深いのでちょい説明します。
例えば、
僕たちが江戸時代にタイムスリップしたとして、
「携帯電話(持ち運びができて、遠くの人といつでも話ができるもの)があったとしたら、使いますか?」
なーんて質問をしたとして。
聞かれた江戸っ子は、ぶっちゃけ「よくわからん」としか思いません(声に出すかどうかは別として)。
まあ、インタビューなので雰囲気に乗っかって「使う/使わない」とどちらか答えてくれるかもしれませんが、そのアンサーはかなり確証の低いハテナ付きの答えです。本当に使うか、本当に使わないかなんて、そのものが実際にここにないとわからないのです。
要するに、今ここにないものは想像できません。
それが人間です。
だから、まずここから一つ言えるのは未来のことを聞く質問はほぼ意味がないと思ってください。
「〜があったら使いますか、良いと思いますか」
とビジネスマンがよく聞きそうな質問ですが、それだけではほぼ無意味です。
では、仮に聞くのではなくこちらから想像してみましょう。じゃあ江戸っ子たちは、
「もし江戸時代に携帯電話があったら使うのか?」
を考えるとするならば、答えは「100%使う」です。
遠くの人とコミュケーションしたいという欲求(ニーズ)は普遍的なものであり、時代や場所が違っても共通しているのでこれは答えがわかります。
実際、現代で考えても、まだまだ発展途上のアフリカとかで、めっちゃ原始的な生活だけど、携帯をぴこぴこしてる人たちもいますからね。そりゃ便利だから、あったら使うんです。
でも、だからと言って江戸っ子たちが
「遠くの人とコミュニケーションが円滑に取れないことが問題である」
とは思っていないわけです。本人は自覚していない。
今の生活が彼らにとっては当たり前であるわけで、未来のこと(今ここにないこと)なんて想像できないからわからない。なので、基本的に不満はないわけです。
「問題を問題と思っていない」というのは、そういうことです。なんとなく伝わったかな?
だから、ここからまた言えるのは
いきなりダイレクトに
「〇〇について、不満や問題がありますか?」
と聞いたところで、インタビューされてる人からしたら「別にねーよ」って話になります。
これも、ビジネスマンがやりがちですが、勿体無いですね。
じゃあ、どうするのか。
結論として、
ポイントは「ストーリーで聞くこと」です。
具体的には、その聞きたい事柄を、「今やっている行動ベースで一連の流れで聞いていく」わけです。
一例を挙げます。
あなたが今、何かカウンセリング系の事業を構想しているとします。
そこで、カウンセリングを利用したことのある方に対して、
「カウンセリングを利用したことはありますか?」
「はい」
「では、カウンセリングを利用した時の出来事を一連の流れで教えてください。例えば、いつ、どんな時に、誰といるときに、カウンセリングを使おうかなと考えて、その後どのようにカウンセリングサービスを探して、どのタイミングで申し込んでなにでお金を払って、初めて受けた時にどうだったか、受けた後の行動など、とにかくストーリーを再現するように一つ一つ細かく描写していただけますか?」
みたいな感じで聞きます。過去の自分の行動歴を、映像で描写するように言葉にしてもらうんですね。
つまり、お客さんは自分で問題を問題とわかっていないことが多いので、あくまで「現在の行動ベース」でこまかーく聞いていくわけです。流れで。
つらつらと自分の過去の行動・生活を言葉で描写してもらいながら、できればその時その時の感情や思考なども引き出しながら聞いていきます。
すると、ユーザーがどのような行動をとっているのか、どんなことを感じているのか、そして、どこに問題を感じているのか、なんてことがポロポロと浮き彫りになってくることがあります。インサイトと呼ばれるやつですね。発見です。
ちなみに、一連の流れを全部聞いた後で
「ではその今話してもらった一連の行動の中で、何か問題だなと思っていることや、不満に思っていることはありますか?」という質問も一応します。
一連の行動を自分で回想した直後なので、自分で話してくれることもありますのでそれは参考にはなります。
このやり方は、百聞は一見にしかずなので次ユーザーインタビューをする機会があったらぜひやってみてください。
起業や新規事業を考えておられる方はぜひトライしてみてください。そうして、お客さんについて学び続けていく姿勢が成功に繋がっていきます。