継続は力なり
筆者は以前、その辺にいるホームレスの人たちに一人で話を聞いて回ったことがあります。
日本についてまだまだ知らないことばかり。
なぜホームレスになったのか、どのような生活をしているのか、何を考えて生きているのか、
私たちの周りにいるけど、関心のないことは目に入らないし、”何も知らない”のが私たちです。
その片鱗を少しでも知りたくて話を聞いて回りました。
ビッグイシューという活動
皆さんは、街角で”ある雑誌”を売っているホームレスの方を見かけたことはないでしょうか?東京では割とあちこちで見かけるかも。
社会起業系に興味のある方はご存知かと思いますが、「ビッグイシュー」という雑誌です。
ビッグイシューJAPAN
http://www.bigissue.jp
これはイギリス発祥のストリート新聞。
ホームレスの方に、社会復帰する機会を提供しようというものです。
ホームレスの人が、この雑誌を販売する。たしか350円ぐらいでめちゃ安いので、見かけたらぜひ一度買ってみてください。そのうちの180円が販売者自身の収入になるという仕組み。
なかなか面白い活動です。
で、このビッグイシューの沢山いる売り人の中でおもしろいおじさんがいました。
その方のパフォーマンスはめちゃめちゃ良い。
他の売り人よりもはるかに多くの冊数を売りさばいています。
このビッグイシューという会社の仕組みでは、基本的に販売してOKな場所はあらかじめ決められていて、それを自由にホイホイ変えることはできません。
指定の場所に立ち続けて、売れるまでひたすら立ち続ける。
いわば、完全に「待ちの商売」であると言えます。
このおじさんに聞いてみました。
「それだけのお客さんが買い来るコツってなんなんですか?」
答えは、たった一言でした。
「それはね、毎日立ち続けることですよ」
僕は、この一言に舌を巻きました。
きっかり朝の◯時から夜の◯時まで、暑くても寒くても、雨が降っていても365日立ち続けることがコツらしい。
言うは易し。しかし・・・これが、なかなかできないのです。
他のホームレスの方でもこれを実行できる人はまずいません。
「この仕事は完全に待ちの商売。売れても売れなくても、人通りが少なくても、そこに”いる”ということが重要なんだ。
たとえ、買わなくても毎日そこを人が通る、そして毎日そこに私がいれば、私の存在が認識されるでしょ。
何かのきっかけで買ってみるかとなるかもしれない。あるいは、常連さんがたまたま通った時に休んでたらどうすんのよ。
とにもかくにも、そこに”いる”という状態をつくり出すことが大切。それには、毎日立ち続けることなんだよ。」
抽象論でもなんでもなく、極めて合理的な話でした。
辛苦を舐めてきて、且つ、結果を出している人の言葉は、すごく重い。ホームレスのおじさんから大切なことを学んだのでした。
ホームレスから学ぶ人生哲学
「人間、落ちるのは一瞬、すごい簡単だけど、そこから這い上がるのは、本当に超大変ですよ。」
メチャメチャずっしりと来る言葉でした。
僕はこんな質問を投げてみました。
「なんで、ホームレスの人たちはチャンスがせっかくあるのに(這い上がるための制度はある程度は整っています)掴みきれないですか?その原因はなんだと思いますか?」と。
また、一言。
「そりゃ・・・自分本位だからですよ」
これまた含蓄のある一言でした。
ホームレスになる原因は人によって様々あります。
ひょんな事情から環境が変わっていき、周りとの関係性も断ち、ホームレスへとなっていきます。
「結局そこから脱するには”耐える”ことができないとムリ。この辛抱が皆なかなかできないんですよ。」
人間どうしても努力を続けるのを怠けてしまう。楽な方、楽な方を選んでしまう。
でも、続けるということをすれば必ず、”何かしらの形”に成っていきます。
その努力の継続が、他の人には到底できないようなことであれば、なおさら大きな形を成す可能性は高い。
「継続は力なり」
みんなが知っているけど、みんなができない、超重要なことなんですね。