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高い店はこうして作られる。日本料理【龍吟】

こんにちは。石川大貴です。

さて、今日は前回の記事の続きです。

前回は「世の中は二極化していくんじゃないか」というお話をしました。
それは、
①安い店
②高い店
の二つです。

①安い店が、なぜそうなるかと言うと、
・あらゆるgoodなサービスは真似される運命にあるから。
・人々は「同じ」でいいならば、安い方を買うから。
・他社が価格を下げたら、会社は追随して価格を下げる価格勝負に陥るから。
・結果として、コモディティ商品は価格が下がり、シェアと効率の勝負になっていく。
という世の中のシステムですね。

一方で②の高い店は、
・「唯一」であることが長期的に保たれる何かしらの理由を持っている
という点で、高い価格で勝負することができます。

②の高い店のなかでも、特に印象に残っているお店があるので、今日はその体験を紹介したいと思います。

東京にある「龍吟(りゅうぎん)」という日本料理レストランです。今は日比谷に本店を移したそうですが、まだ六本木にある時に行きました。

ミシュランで3つ星を獲得したお店です。東京では、ミシュラン3つ星店は13店舗しかありません。

このお店の場合は、「カリスマシェフが経営している」という点で「唯一」のお店です。他には絶対に真似できません。

山本征治さんという方がやっています。

「カリスマ」ということで、まずは山本さんご自身の圧倒的な努力、積み上げがあります。

NHK「プロフェッショナルの流儀」にも出ているのでその動画を観ると良く分かると思います。「寝る食う以外は、全て料理」という人生をずっと続けて来られた人間です。尊敬します。

じゃあ、カリスマになれればそれだけで成功できるのかと言えば、全くそうではありません。龍吟には、確かな「世界観」があり、それを体現する無数の「工夫」がなされています。

まずはwebサイトからも見て取れると思います。龍吟のwebサイトからも「ん、これがレストラン?」と思うような、他とは違う点を感じられると思います。見た目もそうですが、料理に対する考え方、ストーリーが存分に表れています。

「日本料理 流吟」webサイト
http://www.nihonryori-ryugin.com/

予約の電話もとても丁寧で、アレルギーや好き嫌いまで聞かれます。予約の日が近くなると確認の電話などもしてくれます。

龍吟では、1組1組によってメニューが異なったりします。アレルギーや好き嫌いによって変えるのはもちろんのこと、何度も通っているお客様には飽きさせないようにと、違う物を出したりもします。

当日レストランに行くと、まずは入り口の入る前から「お香」の香りがしました。「料理」だけが全てではなく、一つの「体験」としてあらゆる演出をします。食事の前に少しの間待たされるウェイティングルームでは、山本征治さんのプロフェッショナルの流儀が大きいTVで流されていました。ずるい演出です笑。食べる前に、こんなの見せられたら絶対上手いだろうなと期待してしましまいます。

そのあとに、席に通されます。

受付係は女性で、料理を出すサーブは全員男性でした。カチッとした服ですごく素敵な人たちです。立ち振る舞いもめちゃくちゃかっこいい。お酒の資格も持っています。

確かコースで大体3時間超の内容だったと記憶していますが、とにかく全てに圧倒されました。料理自体も、日本料理の創作料理なので「こんなの見たことないよ」という内容でした。

味に関しても、コースの一品目から度肝を抜かれる感じです。そこから最初から最後までずっとサプライズの連続です。料理人の覚悟を感じるお皿しか出て来ませんでした。なんというか、山本さんの「生き様」を感じます。(これも、食べる前にプロフェッショナルの流儀を見せられたことや、店の雰囲気などに影響されてることはいうまでもありませんが。)

あゆの塩焼きなんかも、僕が知ってるあゆの塩焼きではなかったです。料理がくる時には、風鈴がつけられてた竹籠の中にお皿を入れて運ばれてきます。まるであゆが泳いでいるかのように自分の皿の上にのっけられます。五感全てを使って楽しませてくれるのがこのお店です。一口かじると頭の中で知ってるあゆの食感とは全くかけ離れているサクサク感。まさに絶品。器、皿、演出、味、どれもが最高でした。

さらに日本人や外国人、年齢などによっても、同じメニューであっても濃さ薄さを若干調整しているそうです。出すタイミングにもこだわっていて、1組1組のお客さんの食べるペースを見ながら料理を作っていきます。とにかくそのお客様にとって「ベスト」な状態の料理を出すことが哲学で、そのためには一切の妥協はしません。料理のためにやれることは全てやる。「一切の妥協がない」ということの覚悟は、実際に食べたらすぐに本物であることがわかります。

コースで、一人3万5000円くらい。プラスお酒代が入って一人4、5万くらいだったと記憶しています。

行く前は、ありえないほど高いと思ってましたが、行った後は「安い」とすら感じました。それだけ、「他にはない体験」でした。時間と苦労、いや人生そのものが注ぎ込まれていることを感じ、独自の世界観が圧倒的な非日常体験でした。ここに来ずに、人生を終えるなんてもったいない、とすら思います。

「どうやって高い店を目指すのか」という意味で、何かしら参考にできるお店だと思います。機会があったらぜひ行ってみてください。

今日はレストランの思い出話になりました笑。この辺で失礼します。また明日〜!