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これからは特に「世界を創るリーダー」が必要だ

こんにちは。石川大貴です。

今日はある映画についてのお話です。

みなさんは、「インフェルノ」という映画をご覧になったことはあるでしょうか?

トム・ハンクスが出ているやつです。映画ダヴィンチコードシリーズの一つで、娯楽としても普通に面白いのでまだ見ていないという方はぜひ。

映画「インフェルノ」について

さて、今日はこの映画について考えてみたいと思います。

まず、映画のあらすじです。

歴史や宗教、暗号などに詳しい学者さんである主人公ラングドン教授が、とある一大事件に巻き込まれます。
ラングドン教授が、歴史や宗教にまつわる謎解きをしながら、犯人と対峙していくというミステリーアドベンチャーになっています。

今回の作品では、世界スケールでの事件が起きます。

天才生物学者のゾブリストという犯人が、世界にウイルスを撒き散らす計画を秘密裏に仕掛けていました。そのウイルスとは、世界全人口の1/3が不妊になるという恐ろしいもの。

ゾブリストはこんな思想を持っています。

世界は、人口爆発で人間の数が増えすぎて、資源が足りなくなり、いずれ飢饉などで地獄の様相を呈する。それを阻止するために、ウイルスを撒き散らして人口の増加を抑えよう(人間の数を減らそう)という思想です。

つまり、このウイルステロは彼にとっての「正義」です。

主人公のラングドン教授は、彼の危険な計画を阻止するために奔走していきます。

人類の歴史

さて、この映画で取り上げられているのは、現実に生きている私たちにとって、見過ごすことのできない重要なテーマです。ただのエンタメだけでは済みません。

少し歴史の話をしましょう。

我々人間の祖先は、今から20万年前ぐらいに誕生したと言われています。

そして、10万年ほど前に大躍進時代を迎え、徐々に徐々に人口を増やしてきました。

増えてきたといっても、人口がこんなに多くなったのは、ごくごく最近のことです。
(数万年単位の歴史を俯瞰すれば、100年、200年前は”ごく最近”である)

人間の歴史を通観した時、これまでに大きな二つの転換点がありました。

一つは、農業革命。これは1万2000年前ぐらいに起きました。狩りをしていた時代から、食料をある程度コントロールできる時代へ。定住する時代へ。人間の生活は、劇的に変化しました。

もう一つは、産業革命。これは1700年ごろのお話なので、今から300年前です。ここでも、人間の生活が劇的に変化しました。

今でこそ、我々は普通に毎日ご飯を食べて、普通に生きていけますが、こんな豊かな状態になったのは産業革命以降のお話です。

それ以前は、貧しい人がもっともっと多かったし、戦いや病気などもあって長生きすることすら簡単じゃなかったわけです。

産業革命は、たった300年前、つまり、人間史の大半(ざっと97%)の時代は死と隣り合わせか、寿命の短い人生を生きねばならなかったわけです。そう考えると、私たちは奇跡的な時代に生きているのですね。
(世界を見渡してみれば、”今でも”普通に生きることすら大変な地域もありますね)

「人口」の観点からみると、今から10万年前から西暦1700年までの期間は非常にノロノロと「人口」が増えてきました(増えたり減ったりを繰り返して)。

その後西暦1700年ごろを境にして、最近の300年間で急激に人口が増え始めてきたというイメージです。

1700年の世界人口は、6億1000万人。

まずこの6億という数に達するまでに要した時間は、ざっくりと10万1700年かかっと言えるでしょうか(大局観を掴むための数字なので細いことは無視しますね)

そして、1900年の世界人口は、16億人。つまり、たった200年で10億人近く増えました。

1998年の世界人口は、60億人。ちなみに2015年の人口は、73億人です。直近15年間で13億人増えたことになります。

人口の推移と時間の流れを合わせて見た時に、明らかに釣り合っていないのが感覚的にお分りいただけるでしょうか?

人口爆発とは、その名の通りで、今私たちが生きている時代は本当に爆発的にヒトの数が増え続けているのです。人間史の中でこんな時代は、当然最近だけです。

人口増加の鍵を握る「生産性」

ヒトの数が増える条件として、大きな鍵を握る一つの要素は「生産性」です。

人が生きるためには「資源」が必要です。衣・食・住ですね。

特に食糧がとても重要です。
人口100人の村が生きていくためには、100人分を養う食糧が必要です。
人口1万人の都市が生きていくためには、1万人分を養う食糧が必要です。

つまり、人口が増加するためには、それを上回るペースで資源利用の効率を向上させなければいけません。

もし生産性が人口の増加に追いつかなければ、確実に何名かの命が失われることになります。

現実にこれまでの歴史の中では、子供を意図的に消す”間引き”や、老人を意図的に排除する”姥捨て”などが当たり前のように行われていた地域や時代も長らくありました。

「生産性」の観点で、1700年の産業革命は、まさに革命を引き起こしたわけです。

蒸気機関が生まれたことによって、これまでに比にならないほどの余剰エネルギーが生まれました。余剰エネルギーは、生産性を劇的に改善し、多くの人を養えるだけの生産物をもたらしたのです。

人口問題と、「新マルサス主義」と「ソロー主義」

ここまで人類の歴史をみてきました。

人間社会の特徴として、”文明の発展”と”人口の増加”は基本的にリンクします。

産業革命期に一気に人口が増え始め、その後、人口は指数関数的に増え続けている。

これ自体が、非常に大きな世界問題なのです。

世界レベルで、これから避けては通れない課題と言えるでしょう。

この映画で描かれているのは、「新マルサス主義」と呼ばれる考え方と似ています。

まず「マルサス主義」についてご紹介します。

産業革命期、トマス・ロバート・マルサスという人は、

「世界の人口はたくさん増えていきますよ、それに対して、地球に眠る資源の増加は限られている。だから将来的に資源が足りなくなってひどい貧困状態が生まれますよね」

と警鐘を鳴らました。これが「マルサス主義」や、「マルサス的サイクル」と呼ばれるものです。

この問題に対して、
「平和的な解決はもはや難しいでしょう。強制的な策で人口を抑制しましょうよ」
というのが「新マルサス主義」と呼ばれる動きです。

インフェルノで描かれるこの話は、これに似ています。不妊のウイルスをばらまいて、一度世界を”浄化”するわけですからね。

道徳・倫理観の問題にはなりますが、この行き過ぎた解決策は危険な思想と考えるのが普通でしょう。

かといって、平和的に人口増加を抑制できるのかといえば、これもかなり難しい。

現実的に、これから最も懸念されるのはインドとアフリカでしょう。特にアフリカは、これからもとんでもない勢いで人口が増えていくと考えられます。

「新マルサス主義」とは別に、「ソロー主義」という考え方もあります。

これは、簡単にいってしまえば、
「人口は増えるけど、イノベーションが起きれば資源の利用効率も向上しますよね。資源利用の効率のペースが上回れば、それに応じて人口を養えるでしょう。」という考え方です。

起業家は、やはりこちらの考え方に頭を使うところですね。

例えば、最近でいうところの、太陽光エネルギーやシェアリングエコノミーなんかがこの文脈に乗ってくるかと思います。

環境に優しい自然エネルギーから資源を生み出せるテクノロジーであったり、
そもそも資源を大量に消費するのではなく、資源をシェアしてしまおう!という動きであったり。

他の例として挙げると、たとえば「ユーグレナ」という会社があります。

この会社は東大から出たベンチャーで、ミドリムシを使った研究開発をしています。なぜ、ミドリムシなのかというと、ものすごい栄養が詰まっているからです。

そのミドリムシを使って、栄養の豊富なクッキーなどを作っています(味は、普通)。
途上国での飢餓状態を見て、ドラゴンボールに出てくる”せんず”のようなものを作りたいと思ったそうです。

さらに、将来はミドリムシを使って、航空燃料を作ろうとトライしています。
ミドリムシで飛行機を飛ばしたいとのこと。ミドリムシの培養には既に成功しているので、これができたらスゴイことです。化石燃料以外(地球に眠る化石燃料は限られています)のエネルギーが誕生するわけです。まさに「イノベーションで世界を救う」という一例が実現するかもしれませんね。

危機に迫る世界はいま、リーダーを求めている

世界は「人口増加」と「限られた資源」という地球規模の課題を抱えています。

僕たちはここから何を考えるべきでしょうか。

”国”という枠組みから見れば、今後は大きく二つの国に分けられます。

「将来人口が減っていく国」と「将来人口が増えていく国」の二つのパターンです。

我々の住む日本は前者ですね。これまでたくさんの豊かさを享受してきた国の一つです。これは大体どの先進国でもみられる現象です。人口推移はたいてい山を描きます。一度発展して、静かに衰退している国、それが我が日本です。

今後もしばらく人口が増えていくような途上国の勢いは、凄まじいものがあります。筆者は、フィリピンに住んでいたので肌で感じています。人口がこれから増えていく国は、何をどうしたって向こう数十年は間違いなく人口が増えていくでしょう。

先述の通り、文明の発展と人口の増加はリンクします。

私たち日本人がこれまでそうであったように、世界中のより多くの人が、より多くの富を求めるようになります。

「我慢して発展することをやめて、人間の欲を抑えましょう」と言ってみたところで到底無理な話ですし、というかそもそも、富が増幅し続けるのが「資本主義」というシステムの宿命です。

私たち人類は、地球に住んでいます。

地球の中で、人間が必要とする資源利用量を「フットプリント(足跡)」と呼んだりしますが、今人間は地球に対して、とてつもない負担をかけています。

先ほどの人口増加の勢いを思い出してもらえば分かるように、フットプリントはものすごい勢いで肥大化している最中なのです。

地球の平均気温が1度上がるだけで、世界各地で様々な問題が発生します。
これからも様々な形で、肥大化したフットプリントの”ひずみ”が姿を現してくるかもしれません。”地球のしっぺ返し”とでも言えるでしょうか。

…ここ最近思い当たるフシはありませんか??これを、我々の子供・孫世代、そのまた孫世代にまで想像を膨らませてみてください。本当に”地球に住めなくなる日”が、近いうちにやってきてもおかしくはないと思います。

世界はいま、こういった問題と向き合う知性と志が求められているのだと思います

・・・とはいっても、これまでの歴史、今我々が生きているこの社会、それは、

「人間の歴史」=「自己利益を追及してきた必然的な結果の積み重ね」

であることは間違いありません。
個々が「社会全体」のことよりも、「自己の利益」を追求してきた、これは紛れもない事実だと思います。

ただ、日本では戦争もなくなった。野垂れ死にする人もまずいなくなった。
人間社会は、時間をかけてここまで来たのだなと想うと非常に感慨深いものがあります。

人類は、長い長い歴史の中で安全と自由を手にして、社会に富がもたらされた結果、大部分の人が豊かに生きていける社会になりました。

これから未来も、できるだけ全ての人が豊かに生きていける社会であるべき、と僕はそう思います。

社会全体を考えたときに、いまだ残している大問題や、これから噴き出してくる大問題は解決されなければ、そういう未来はないような気がしてなりません。

例えば、孔子がそうであったように、自分の欲や感情をコントロールして、自然と周囲の見本となるような生き方に徹する。

マザーテレサがそうであったように、利他の心で日々困っている目の前の誰かに手を差し伸べる。

ビル・ゲイツがそうであるように、明晰な思考と果敢な行動力で、誰も手をつけなかった社会問題を根本から変えるシステム作りに挑む。

世界で新たな危機が顔を現し始めている時代だからこそ、
そんなリーダー的存在が、あらゆるところで必要とされているように思えてなりません。

どこかの大統領みたいに、”自分が自分が”と子供が駄々をこねるように言動するなんて、ちゃんちゃらおかしい。時代錯誤もいいとこです。トランプのようなリーダーは本当に世界にとって最悪だと思います。

人間社会は、もう一段進化して次のステージへ差し掛かっている。
今はそんな転換期のように思えてなりません。

いま僕たちが生きているのは、そういう時代なのです。