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旅日記-徳島県上勝町の地方創生に学ぶ

今年(2017)の6月に徳島県の上勝町というところに行ってきました。

以前の記事(旅日記-神山町の地方創生)の神山町から車で1時間ぐらいのところにあります。

上勝町の人口は減少の一途を辿り、今では1500人程度。

全国でもトップクラスの人口の少なさ。

そんな上勝町は、地方創生で全国トップクラスで話題にのぼる町でもあります。

 

葉っぱの町、上勝

上勝町は、「葉っぱの町」として知られています。

葉っぱ?と言われてもピンと来ないかもしれませんね。

葉っぱの町と言われて、皆さんは何をイメージするでしょうか?

観光資源として定番なのは、「自然」を活かした観光ですが、上勝はそういうわけでもありません。

「葉っぱ」の正体は、「妻物」のことです。

高級料亭などで出てくる料理に葉っぱが添えられているのを見たことがありますよね?

妻物とは、料理に添えてある葉っぱのことです。

見た目までとことん突き詰めたものが、高級料理。

葉っぱが一枚添えられる。

ただそれだけで、一気に魔法がかかります。

これを、全国に出荷しているのが「上勝の葉っぱ」になります。

こんな感じ。

これは、映画にもなっているので、これを見るとよく理解できますね。
(映画としても、普通に面白いのでぜひ見て。TSUTAYAで取り寄せる必要がありますが。)

国内シェアを独占状態

上勝町の葉っぱ農家は今180軒ぐらいいるみたいです。

そして、ほとんどの人が高齢者。

80代の方、90代の方とかもいるようで、中には年収1000万を超える方もいます。

妻物としての、全体市場は約3億円。かなり小さな市場ですね。

上勝だけで2億5000万稼いでいるので、ほとんどのシェアを上勝が独占している状態になります。

 

人生の第二ステージで輝く、上勝のおばあちゃん

実際に葉っぱ農家をしている人にも会ってきました。

生で触れ合ってみて、この地方創生の真髄をみた気がします。

その方は、もう80歳を超えているのに、本当に生き生きしていた。

こんなに”輝いている”80代に、僕は今まで会ったことがありませんでした。

「仕事が本当に楽しいっ!!」

「こんな楽しいことない。死ぬまでやりたいっ!」

こう語るおばあちゃんは、本当に美しかった。

その命の輝きに、筆者はえらく感動しました。日本に、こんな村があったのか!と。

日本は、これから超高齢社会を迎えます。

今でも4人に1人が65歳以上。

あと数年で、3人に1人が65歳以上の時代が来ます。

人は、年をとると老いるもの。

筆者も、田舎育ちなので、地方の実態はよく分かります。

上勝のようなケースは全国でもまずみられません。

いつまでもこんなに元気でいられる日本になれば、最高だなとは思います。

このおばあちゃんの話を聞きながら、僕はサミエル・ウルマンの詩を思い出しました。

人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる

精神が人間をつくるんだなーとしみじみと実感した瞬間でした。

葉っぱの仕掛け人

さて、映画にも出てきますが、この葉っぱの仕掛け人は横石さんという方です。

横石さんのお話も伺うことができました。

上勝の葉っぱのストーリーは、この人抜きにしては語れません。

上述の映画にけっこう忠実に再現されていたので是非ご覧になってください。

上勝の地方創生の成功要因を語れば、たくさんあるかと思います。

横石さんのお話には学ぶべきポイントが数多くありました。

でも、僕が今回ひっくり返るくらいの衝撃を受けたのは、この方の”熱量”。

ただ、その1点。

本当にハンパじゃない人でした。

こういう心を揺り動かしくるような方にはなかなか出会えません。

もともと、葉っぱビジネスというのは全く存在しなかった市場です。

つまり、誰もお金を払わなかった商品を、お金を払ってもらえる商品にまでしたということです。

これが、事業を経験したことのある筆者には、これがどれだけ大変なことかが分かります。

まさに、奇跡的に難しいことです。

成し遂げられた本質はいったい何なのか?

それは、横石さんの”覚悟”だと、僕は感じました。

これは、精神論ではありません。

市場がなかった。値段がつかなかった。何を売ればいいかわからなかった。どこに売れるかわからなかった。

だから、日本全国の料亭を食べ歩き、1軒1軒に突撃訪問し、情報を集め、商品作りをして、販売先を開拓していった。

どんな問題に直面しても、

どれだけ反対にあっても、

ただ実直に、ただ淡々と。

これら一つ一つ努力の積み重ね、無尽蔵の行動量の積み重ねが今の結果を生んでいる。

それをずっとやってこられたのは、結局”覚悟”なんだなと、僕はお話を伺っていて感じました。

大事なことはまあ色々あるけど、結局はそこなんだよな〜と。

今回上勝町に訪問して、一番大切なことを教えられた旅となりました。

 

旅日記-徳島県神山町の地方創生

今年(2017)の6月に徳島県の神山町という所へ行ってきました。

山の中にある超ど田舎ですが、最高に面白い町でした。

神山町は、5000人ほどの小さな小さな町。

ですが、ITベンチャー企業などのサテライトオフィスとして誘致したり、
多種多様なクリエイターが集まったりと、何かと話題になっている町です。

羽田空港から、飛行機で1時間ほどで、徳島阿波踊り空港へ。

徳島といえば、阿波踊り。

空港から、車で1時間ほどで神山町へ到着します。

・・・すげー田舎感。

筆者も田舎育ちですが、でもこの町の景観は本当に綺麗でしたね。

山の形とかもすごい綺麗、川もあるし、人工物もそこまで多くないし。

自然が好きな人にとっては、最高に癒される場所だと思いますよ。

で、神山町といえばITのサテライトオフィス。これが縁側オフィス。

ここにはいくつかのIT企業が入居しています。

現地の雇用を生むということではなくて、単純に都会のサテライトオフィスとして稼働しているようですね。

各企業にもよりますが、希望者がこっちに移住してきて働いていたり、一定期間だけこっちにきて働いたり。

要するに、「選択肢の一つ」というのが意味合いみたいです。

今は、無料のビデオ通話ツールができたり、無料のファイル管理ツールができたりと、IT技術が進んだおかげでほとんどの工程がオンラインで完結できてしまいます。

業種や職種にもよりますが、特にIT系の企業は顔をあわせる必要はもはやない。

これは、起業経験のある筆者も肌で感じています。時代が変わったからこそ、実現できる一つの地方創世の形かもしれません。

こちらは宿泊施設付きのサテライトオフィス。「WEEK神山」。

WEEK神山のオーナーさんによると、社員にとってもこのサテライト制度は希望する者が増えてきたとのこと。

本社(東京)とサテライト(神山)で、仕事効率のデータを長期間に渡って記録してみたところ、どうやらクリエイティブ系の仕事はサテライトの方が若干効率が良かったんだとか。

逆に、ルーチンワーク業務の場合は東京の方が効率が良いらしい。おもしろい。

なんとなく、感覚的にも納得できますね。

筆者も、朝5時に起きてこの景色を眺めながら1時間半くらい仕事をしました。

心なしか、めっちゃ仕事がはかどりました。こんな生活も良いですね〜。んー最高。
(でもコンビニとかすごい遠いけどね!あと、夜遊ぶところは皆無。)

他にも、

SHIZQプロジェクト(http://shizq.jp)という活動などもあったり。

都会に住んでいたデザイナーさんが家族ごと引っ越してきて、やってるんだって。

いまや増えすぎてしまった人工林は、自然を守るためには良くないとのこと。
杉を使って、こんなコップを作っている。
(杉の加工は、業界的には”完全に非常識”なんだって。加工が難しいらしい。このコップを作るのに商品開発だけで1年。いまこれを作れる職人はこの世に1人しかいない)

筆者も勉強代として、一つ購入。

なんと値段は1万3000円!

最初一瞬見たときに、内心(アホか!こんな高いの売れるわけねー。資金ばっか出て行って死ぬぞ)と思ったが、どうやらそうでもないっぽい。

結論から言うと、PR(お金をかける”広告”じゃなくて”広報”です)がうまくいったからだと思われる。

高付加価値商品を売る上で、そして、新しいものを世の中に広める上で一番効果的なのが、PR戦略。

「時代のキーワードが入っているかどうか」というのがかなり重要なポイントとなる。

プッシュ型(こちらから広める)じゃなくて、プル型(向こうから勝手にくる)であること。

「地方に移住」、「働き方革命」、「自然保護」、「地方創生」

記事にしたくなるような、キーワードが散りばめられている。

一度パブリックに出ると、波及効果で次々とメディアから声がかかるようになる。

商品にストーリーがあれば、いくら高付加価値商品でも買う人は現れる。

かなり多くの成熟市場ができてしまった今の時代(=先行企業に広告費じゃ対抗できない)、本当に実践すべきやり方だな〜と感じました。

あと、地味に見逃してはいけないのは、黒字化するまでどうしていたのかということ。

これは筆者の予想だが、この移住した夫婦はもともとハイスペックのスキルを持ったデザイナーさんなので、デザインの受注仕事で稼いでいらしたのだと思う。すごい、の一言。

これは、血気盛んな起業家は陥りがちなミスだけど足元を見るのは本当に大事。とにかく会社は死んだらおしまい。そんな簡単にはうまくいかない。どうやって食いつないでいくかは、考えなきゃいけない。やりたいことだけでは、うまくいかない場合が多い。

いや〜、でもこのコップは本当に綺麗な商品に仕上がっています。

価格は高いですが、その形は本当に洗練されて”美しい”。芸術品だなと思いました。

皆さんもぜひ機会があったら買ってみてください。

さて、話を戻しましょう。

神山町は本当に面白い町でした。

たった5000人の町なのに、この他にも”見たことのないような新しい活動”がたくさんありました。

神山町の場合は、どうやら官主導ではなく、民主導型。
雨後の竹の子のようにボコボコと勝手にいろんな取り組みが立ち上がるとのことだった。

いま”形”として見えるものは成功した例だけだが、その裏にはきっと数えられないほどの”失敗した事業”があったことだろう。ここも見逃しがちだが、重要なポイントだ。

地方創生で、参考にするために多くの人が訪れるようだが、
「これをやったら必ず成功する」なんてそんな甘い魔法の杖はビジネスにおいて存在しない。

と、すれば、この町の本質は何かと考えれば、「挑戦させる空気感」だと筆者は感じた。

これだけの活動が軌道に乗って、それがパブリケーションを呼び込み、

実際に神山に訪れる人、そして、カネを呼び込む。

これだけの事例を成功させるには、挑戦の回数を増やすしかない。

このど田舎でそれができるのは、本当に奇跡だなと思う。

なぜなら、田舎は特に”腰が重い”からだ。これは、田舎育ちの人なら共感できることだろう。

何か新しいことをしようと思えば、何かとつけて潰される。

日本全体でもそんな空気はあるが、田舎は特にその空気で充満している。

では、なぜ神山がこの挑戦できる空気感を醸成できたのか?

そのルーツは、どこにあるのか?

それは、どうやらアーティスト・イン・レジデンスという活動にあるっぽい。

これは1999年から始まったプロジェクト。

公募で外国人アーティスト(様々な分野のアーティスト)を募集し、一定期間神山に住みながら、創作活動をするという取り組み。

外国人で、しかもアーティストとなればいわば”よそ者中のよそ者”
田舎のおばあちゃんおじいちゃんにとって、彼らは見たこともない生き物だったに違いない。

そんな活動のおかげで、町のあちこちには外国人アーティストが残していったこのようなナゾの?アートがある。
(全身スピーカーでできた鳥居。本当に音がなるらしい)

つまり、この空気感は15年近くをかけて重層的に醸成されてきたものだと言える。

それが、この町の本質だと思う。

一朝一夕で真似できるものではないし、側だけ真似をしてもうまくいくわけでもない。

地方創生、コミュニティ、働き方、そんなキーワードで沢山のヒントを与えてくれた旅でした。